997物語 第一章 旅の答え

インテリアを始めたのは、1997年のこと。
その頃の私は建築資材の卸販売に勤しむ傍ら、あるひとつの疑問を抱いていました。
“引き渡しの時に一番家が良く見え、生活が始まった途端そうでもなくなってしまうのはどうしてだろうか。”

建築資材の卸販売をしていると、新築祝いに呼ばれることが幾度とありますが、
家の内装とインテリア家具のバランスが保てずに、有名な椅子だけが目立ってしまっていて、
一旦生活が始まったその家々は、あまりよく見えなかったのです。

なぜそんなことが起こってしまうのか。

私は大学卒業後、すぐには働かず、ヨーロッパへ放浪の旅に出る機会に恵まれました。
パリ行きの飛行機の中で出会った見ず知らずの方に
「ホテルの予約もしていないのなら、うちのアパートメントに泊れば」
と声をかけられ、成り行きで10日間ほどお世話になることに。

そのアパートメントでは実に新鮮な、パリに住まう人のライフスタイルを体感できました。
今までに経験したことのない不思議な居心地の良さは、今も尚忘れることができません。

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特別豪華な内装でもないのに、なんて心地のいいリビングだろう。
朝のクロワッサンはこんなにも美味いものなのか。
カフェオレでこんな優雅な気持ちになれるのは何故なんだ。

答えは、私のすぐ周りにありました。
今思えば、その空間全体のバランスがいい。
後で、その時の心地よさは内装・家具・人の動き、これらのバランスに由来するものなのだとわかりました。

そしてパリで初めて、リビングを作るときに建築と一緒にインテリアもコーディネートしていくことも教わりました。
むしろインテリアに合わせてリビングを作っていく。そんな感覚です。

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しかし今まで、なぜ日本の注文住宅にはインテリアがなかったのでしょうか。
家を作るときにインテリアを一緒に考えていかないのはどうしてでしょうか。